能力開発プログラム

Gap Inc. はアパレル業界の構造的な社会・環境問題に対処するため、サプライヤーと協力してその能力を高め、業界全体の取り組みを取り入れてベストプラクティスのさらなる向上と効率化を図り、国内外のNGO団体や業界内パートナーと連携して労働者と地域社会に利益をもたらすプログラムを革新しています。

私たちは工場やパートナーとの協働に総合的なアプローチをとり、労働者の苦情処理メカニズム、リーダー職におけるジェンダー公平性、安全や福利厚生など諸問題の改善を促進しています。そしてすべての能力開発プログラムにおいて、女性のエンパワメントに特に重点を置いています。また、環境に配慮した経営を通じて地域社会を豊かにするプログラムへの投資を行っています。 

目標

進捗

2025年まで

当社の戦略的提携工場*で雇用されている全労働者が代表者やジェンダーの公平性を確保した事業所委員会を通じて彼らの声を届けることを可能にする

2021年

ワークプレイス・コーぺレーション・プログラム (WCP)を導入

•2017年以降:3,361件の苦情を受け付け、97%を同四半期内に解決

•2021年の実行施設:9か国197工場

•2016年以降:241施設でWCPを導入(目標:200)

2025年まで

当社のすべての戦略的提携工場*において監督者レベルのジェンダー比均衡を達成する

2021年

監督スキルトレーニング(SST)を導入

•トレーニングを修了した累計監督者数:7,100人

•2021年の実行施設:9か国182工場

•合計:228施設でSSTを導入(目標:220)

2025年まで

当社のすべての工場においてジェンダーに基づく暴力への対策として、防止・対応管理体制とトレーニングを実行する

2021年

ジェンダーに基づく暴力(GBV)の防止・対応プログラムを導入

•当社の工場の90%が中間管理職とトップマネージメントを対象としたジェンダー認知トレーニングを完了

•当社の工場の44%がGBVの防止・対応に関するトレーニングを開始し、23万1,500人以上の労働者がトレーニングを修了

*戦略的提携工場とは、当社の総事業費の80%を占める工場を指します。

私たちのアプローチ

私たちは事業を展開する各地域社会において、自社商品の工場が雇用者として高評価を得られるよう支援しています。この取り組みは工場の労働者を支え、人材の定着率や生産性の向上などの良い影響をもたらします。

大規模な変化を共に生み出せるような長期的で緊密な関係を育むため、私たちは共通の持続可能性目標を掲げる戦略的パートナーと協働しています。そして2016年以降は当社の工場リストを公開し、年に二度更新しています。当社のESGリソースからご覧いただけます。

当社は能力開発に3つのアプローチを取っています:

1. サプライヤーの関わり:当社はティア1のサプライヤーに社会・環境問題とベンダー行動規範に関するトレーニングを継続的に提供し、繊維工場サステナビリティプログラムを実施してティア2の繊維工場の業績を評価しています。 また、P.A.C.E.(個人の能力とキャリアの向上)などの業界をリードするプログラム、Gap Inc. 手動の能力開発プログラム、資源効率化プログラムを通じて多くのサプライヤーとの関わりを深めています。サプライヤーによる従業員や事業活動への戦略的投資を実現するため、彼らが入手できる当社の評価改善プロセスのデータや分析結果を増やしました。

2. 業界での協働:社会労働コンバージェンスプログラム(SLCP)の署名企業として、Gap Inc. はリソースの共有と継続的改善の支援を通じて業界の各種取り組みの重複を減らしつつ、製造施設の社会的および労働的パフォーマンスを評価するのに役立つSLCPツールの普及を奨励しています。

ILOベターワークプログラムの創設メンバーの一員として、私たちは施設のモニタリングに対して「評価のみ」にとどまらず、ブランドがアドバイザーやパートナーとして関与し、施設自らが改善を行えるよう支援する「ベターワークアカデミー」の立ち上げに携わりました。ベターワークとは他にも、当社のワークプレイス・コーぺレーション・プログラム (WCP)、監督スキルトレーニング(SST)、ジェンダーに基づく暴力の防止・対応プログラム(下記)を開発しています。

また、当社は業界内の複数の企業と協働し、ウォータースチュワードシップ、気候行動、化学物質の管理、持続可能な原材料、循環および廃棄物削減を通じて地域社会を豊かにするための目標に向けた活動を展開しています。

3.イノベーション:Gap Inc. のワークフォース・エンゲージメント・プログラム (WEP) のモバイルツールは当社のすべての能力開発プログラムをサポートしています。このモバイルテクノロジーにより、サプライヤーは重要な情報やトレーニングの提供が可能になり、労働者が施設に苦情を申し立てたりフィードバックを共有するプラットフォームも提供できます。 

ワークプレイス・コーぺレーション・プログラム(WCP)

Gap Inc. のワークプレイス・コーぺレーション・プログラム(WCP)は職場の問題に対処するため、労働者と経営陣の対話を円滑にします。このトレーニングプログラムは、協力しながら良好な労使関係を構築するために選出された労働者と経営陣の代表からなる労使委員会と連携して行われます。このプログラムには、ILOの中核的労働基準に記載された職場における労働者の基本的権利を尊重、遵守する方法についてのガイダンスが含まれています。

当社のWCPのデータ分析によると、労使委員会が機能するようになると、労働者は懸念の申し立てをする権限を得られたと感じ、かつその懸念がより迅速に対処されるようになることが分かっています。2019年にヨーク大学とベターワークが行ったこのプログラムの評価でも、この結果は強調されています。

こうした変化がサプライヤーの業績に寄与しているかどうかを評価するため、当社は施設向けに四半期ごとに欠勤率、苦情件数、生産性などのビジネス指標を測定できるデータ収集ツールを作成しました。

女性のエンパワメントへのコミットメントの一環として、私たちは戦略的提携工場の事業所委員会が確実により多くの労働者を真に代表するものにするための目標を設定しました。パフォーマンス測定には次の指標を使用します。(1)ジェンダー比率が均等な事業所委員会が設置されている戦略的提携工場の割合、(2)事業所委員会がベターワークアカデミーの社会的対話指標(SDI)のうち関連するものにおいて70%以上を満たし、かつ必要最低限の指標(SDI9、SDI17、SDI18)を満たしている戦略的提携工場の割合。

監督スキルトレーニング

2018年に開始した3日間の監督スキルトレーニング(SST)プログラムは、施設監督者による労働者とのコミュニケーション改善を目的としています。労働者は通常、問題に関する議論や施設の労働条件改善の提案において、まず中間管理職に相談します。このプログラムはプロフェッショナルな監督者であることの意味、労働者との良好な関係の構築、労働者の管理などの分野を網羅しています。

また、女性のリーダーシップもサポートしています。2025年までに監督者レベルのジェンダー比均衡を達成するという戦略的提携工場の目標の一環として、当社はSSTトレーニングを受ける機会を女性優先で提供するよう施設に要請しています。監督者レベルのジェンダー比均衡を実現している工場の割合と、戦略的提携工場の監督者のうち女性が占める割合をグローバルで評価することで、その実績を測定しています。

プログラムの効果測定には、生産性効率のデータ、監督者および労働者へのアンケート調査を使用しています。これにより行動変容や生産効率の改善に対するトレーニングの効果を把握することができます。私たちは、これは最初のステップに過ぎないと認識しています。女性には専門スキルのトレーニングへのアクセスや、女性の地位向上を支援する職場文化が必要です。女性が自信、力、スキルを活かして監督者としての役割を担う機会を通じてさらなる権限を得られるよう、施設を支援する方法をこれからも模索していきます。 

ジェンダーに基づく暴力の防止と対応

私たちの長年にわたる定期的な施設評価を通じて、ジェンダーに基づく差別やハラスメントに関する違反が明らかになりました。そこでGap Inc. は身体的、心理的、性的な嫌がらせを一切禁止するポリシーのを徹底するため、ジェンダーに基づく暴力(GBV)防止・対応プログラムを開発しました。

Gap Inc. の女性のエンパワメント戦略の中核として、このプログラムは当社の施設が次の3点を確実に実行できるよう支援します。すなわち、ジェンダーに基づく暴力に対する認知向上(暴力が起こる理由と取りうる対策)、職場でのそうした問題の防止と対処への投資、当社の予防・対応スペクトラムを使用した問題の即時特定、対処、是正です。

また、工場と協力してGBVポリシーの見直しと改善を行い、インドのセクシャル・ハラスメント防止法(POSH)、ベトナムやインドネシアの同様の法律など、この問題に関する政府の政策を支援し、当社のトレーニングプログラムをこうした法律に合わせて更新しています。

2021年には、2025年までにすべての工場でGBVに関するトレーニング、防止・対応システムを確実に導入することを目標に掲げました。その実績に測定にあたっては、全労働者がジェンダーに起因する暴力の防止と対応に関する年次トレーニングを受講した工場の割合と、GBVに関する従業員の苦情や提案を奨励する苦情処理メカニズムが機能している調達工場の割合を評価します。 

電子的手段による給与支払い

モバイルウォレット、銀行口座、デビットカード、その他デジタルでアクセス可能な方法など、電子的手段による給与支払いシステムにより、サプライチェーンの透明性と効率性が向上し、経済的包括性が促進され、労働者、特に女性労働者が安全な方法によって預金、支払、投資を行い、自身の金銭管理をより自分でコントロールできるようになります。さらなるメリットとして、給与計算にかかる時間を短縮し、残業代を含む労働者への賃金支給の透明性を向上することで、労働者が正確な労働対価を受け取れるようになりました。

2017年に電子的手段による給与支払いプログラムを開始して以来、Gap Inc. は各パートナーと密に協働し、国連のベター・ザン・キャッシュ・アライアンス(BtCA)に参加して電子的手段による給与支払いに既存の規制とインフラの制約に関して働きかけを行っています。また、P.A.C.E. のカリキュラムでもデジタル金融リテラシーのセッションを提供し、今後も新規ティア1サプライヤーとの電子的手段による給与支払いを優先することで、より広範な金融包摂の実現をサポートします。

その結果、電子的手段による給与支払いシステムを提供するティア1サプライヤーの割合を、2017年から2021年にかけて68%から96%に引き上げました。

ほとんどの調達国で順調に進展を遂げていますが、銀行インフラが整っていない国では進展が妨げられています。私たちはすべての課題を自分たちだけで解決することはできないと認識しており、衣料の製造に携わる労働者のため、電子給与支払いを拡張可能で費用対効果の高いモデルとして確立するために必要なインフラや資本投資が不足している国々で、幅広いステークホルダーとパートナーシップを結んでいます。