商品ライフサイクルのマッピング

各段階における影響の軽減


デザインから調達、製造、お客様のクローゼットへ商品がたどり着くまでの商品ライフサイクルにおける環境への影響を理解するために、Gap Inc. ではライフサイクルアセスメント(LCA)を実施しています。私たちはこのアセスメントを利用して二酸化炭素排出量、化学薬品や水の使用量などの指標を算出しています。LCAは自社商品のライフサイクルの全てのプロセスで環境への影響を軽減するために、サプライチェーン、社内のチーム、お客様にどのように私たちが関与できるかを理解するために役立ちます。

ワタ

業界全体で大規模なイノベーションを起こす下地を作るため、私たちは循環型経済のリーダーたちと協業しています

Gap Inc. は、各ブランドの商品アソートメントにおいて重要な役割を果たすメンズ、ウィメンズのジーンズ、そしてTシャツに対しても環境影響の測定を行ないました。その結果、水にまつわる環境影響の最も大きな要因は原材料にあることがわかりました。これは、コットンの栽培に多くの水が使われることに起因しています。また、二番目に大きな要因は、消費者による衣類の洗濯にありました。ジーンズやその他衣類の洗濯後の乾燥に大量のエネルギーを消費されるため、商品ライフルサイクルの中では消費者の段階で最大量の二酸化炭素が排出されていることも分かりました。 

これらの結果をもとに、原材料の選択、素材開発、衣類の製造や仕上げ加工など、当社が直接影響をおよぼすことができる分野において取り組みを強化しました。また、耐久性が高く、愛着を持って何年も着用される衣料品は、商品ライフサイクルで生じる環境影響が低いこともわかりました。そのため、長年ご愛用いただける仕立ての良さと、時代を問わないデザインにこだわっています。

サーキュラーデザイン:
商品の寿命

真に持続可能なファッションを創造するためには、衣料品の原材料から商品としての寿命の終わり、そしてまた原材料に戻るまでのライフサイクル全体での取り組みが必要だと私たちは考えます。

寿命を迎えた商品の環境負荷は大きく、織物製品のほとんどが最終的には埋め立て処分、焼却処分されています。循環の輪を成立させ、再生資源を利用し廃棄物を減らすシステムを作り上げなければなりません。そこで、私たちは商品の寿命問題に取り組み、廃棄物を削減してリサイクル、アップサイクル、リユースを増やすサーキュラーデザインシステムを構築するための各種プログラムを立ち上げています。

エレン・マッカーサー財団主導の取り組み「メイク・ファッション・サーキュラー」のコアパートナーをはじめとする循環型経済のリーダーたちとの協業を進めています。「メイク・ファッション・サーキュラー」では、安全かつ再利用可能な原材料・資源利用、サステナブル繊維モデル、中古衣料のリサイクルにフォーカスするという3年間のコミットメントを立てました。私たちの取り組みを通じて、2019年前半にはニューヨーク市の一部のBanana Republic、Gap、Athletaの店舗にてカスタマーに中古衣料をリサイクルに出してもらうことを奨励する衣料品回収を開始しました。この狙いは中古衣料を新しい衣料品に生まれ変わらせるためのサステナブル繊維モデルのサイクルに、安全かつ再利用可能な原材料を取り入れることです。上記のパートナーシップに加え、グローバル・ファッション・アジェンダ(GFA)やファッション・ポジティブとの循環性の実現機会の探求にも参加しています。

当社のGFAとの2020年サーキュラー・ファッション・コミットメントにおいては2020年までに以下の3つのコミットメントを実現することを誓いました。

  • 各ブランドの商品に関わるチームに対して部署の垣根を超えたサーキュラーデザインのテクニックやベストプラクティスに関する研修を行う
  • 業界主導の基礎調査的な衣料品回収の試験的取り組みを通じて世界中で回収される中古衣料の量を増やすことに貢献する
  • 複数の商品カテゴリーにわたり、ポストコンシューマー材のリサイクルにおいて最も期待できる技術を見極め、当社のサプライチェーンの中での活用の拡大に着手する

マイクロファイバーシェディング

衣料品のライフサイクル全体の影響を考え、マイクロファイバー(超極細繊維)、特に合成繊維を使用した製品から抜け落ちた繊維片(シェディング)が環境に引き起こしている新たな問題についても調査を進めています。マイクロファイバーの抜け落ちについては、このような繊維片が主にどこから出ているのか、どんな生地や洗浄手法の影響が最も大きいのか、この問題が及ぶ範囲はどこまでか、生地からの脱落繊維の環境負荷を低減、除去するためには何ができるかなど、まだまだ分からないことがたくさんあります。

マイクロファイバーは他のマイクロプラスチックと同様に発生源が多様であり、アパレル業界や異業種グループとこの問題への対策として何ができるのか理解を深めるための取り組みを急いでいます。マイクロファイバーの環境負荷に対処するにあたり十分な情報を得た上で決断が下せるよう、私たちは他ブランドやアウトドア・インダストリー・アソシエーションとともにこの問題の調査へのリソースに投資することを約束しました。また、エレン・マッカーサー財団などと協業し、繊維および織物に関するイノベーションの調査にも取り組んでいます。この問題が及ぶ範囲を理解するだけでなく、解決策を見出すことに力を注がなければならないと私たちは感じています。

調査によると衣料品からのマイクロファイバーシェディングを減らすために消費者が実践できる方法がいくつかあることが明らかになっています。洗濯の頻度を減らす、取り扱い表示にある洗濯方法の指示に従う、柔軟剤の利用を減らす、繊維を捉える洗濯機フィルターを検討するなどです。