ウォータースチュワードシップ

Water in a dam

Gap Inc. のウォータースチュワードシップ戦略は、清潔で安全な水にアクセスすることは基本的な人権であると同時に環境に対する責任でもあるという信念に基づいています。

女性が大部分を占める当社の商品を製造する人々にとって、また私たちの生活の土台となる地域社会と自然資源にとって、水は欠かせない存在です。Gap Inc. はコットンなどの原材料の栽培、繊維工場や洗い加工場での商品製造、消費者による衣類の洗濯のために消費され、当社の事業に必要不可欠な自然資源である水にまつわる問題に対し、対応する責任と機会があります。

コミュニティを豊かにするGap Inc. の取り組みの一つであるウォータースチュワードシップは、清潔な水と上下水設備へのアクセスを改善し、製造と企業運営における水使用量を削減し、自然と地域社会に好影響をもたらす流域の健全性を支援することで、私たちのバリューチェーンが関わる地域の水資源のレジリエンスを支援することを目的としています。

 

目標

進捗

2030年まで

アパレル産業に携わる500万人の清潔な水や衛生設備へのアクセスを改善する

 

Gap Inc. の衣料品製造、自社施設で使用する水と同等の水を削減し、浄化した水を自然に還元する

2023年

240万人以上を支援

 

 

基準値の設定と状況分析の実施

2050年まで

2050年までに水レジリエンスを備えたバリューチェーンを構築


2050年までに、水ストレスに悩まされている地域における水の還元量が使用量を上回る

2023年

基礎値を設定中

 

 

2022年のCDP Waterによる評価:A

私たちのアプローチ

2014年を基準として、100億リットルの節水という野心的なゴールを2020年までに達成した後、Gap Inc. は2050年までに水不足の地域で水の還元量が使用量を上回ることの達成と、水レジリエンスを備えたバリューチェーンを構築することを主要なマイルストーンとして2030年のゴールを設定しました。

当社のプログラムや他企業、他団体との提携は、さまざまな水の課題に包括的に取り組み、より多くの企業を巻き込んだアクションを促し、これらの重要な問題に対する認識を高めることを目的としています。ウォータースチュワードシップ戦略として、Gap Inc. は相関関係にある三つの領域に重点的に取り組んでいます。

  1. アクセス– アパレル産業に関わる地域での清潔な飲料水と上下水設備へのアクセスの改善
  2. 削減 – 製造過程と自社運営施設での水使用量の削減 
  3. 補充 – コットンの栽培地や衣料品の製造地、そしてお客様や従業員が暮らす地域で水不足に悩む優先流域の自然生態系に着目した水の還元と回復

アクセス

アパレル産業が関わる地域社会で、長きに渡り維持することのできる清潔な飲料水と上下水設備へのアクセス改善を目指します。当社は水レジリエンスと女性のエンパワメントは密接に繋がっていると考えています。当社がソーシングしている国々に住んでいる女性の多くは、家事で使う水をやりくりするため、重たい水を持って毎日何マイルも歩かなければなりません。Gap Inc. のウォーターアクセスイニシアチブは、女性が積極的に参加し、彼女たちが暮らす地域社会における水へのアクセス、上下水設備や衛生状態(WASH)の改善を推進するリーダーとなることを支援します。

Gap Inc. のこの道のりは、「USAID Gap Inc. 女性と水のアライアンス」という先駆的なグローバル開発パートナーシップから始まりました。2017年~2023年の間、女性と水アライアンスは240万人以上のインドの人々の清潔な水と衛生設備の改善を支援してきました。今後、このアライアンスから得られた知見は水レジリエンス連合によって支援された集団行動イニシアチブに反映されるようになるでしょう。また、当社はWaterEquityの世界アクセス基金Ⅳへ投資することで革新的な資金の活用を図ります。この基金は、新興市場における金融機関や企業が、低所得者や社会から疎外された顧客が家庭用水や上下水設備の問題解決のために借り入れる融資など、水と上下水設備に関する融資活動を拡大できるように支援します。 

この支援は、非営利団体、世界、国、地方の機関、個人経営企業、地域のステークホルダーなどが主導する共同パートナーシップを通じて行われます。このパートナーシップで2030年までに500万人の人々に気候レジリエンスWASHサービスへの持続的で公平なアクセスの支援を目指します。

削減

アパレル製造過程で淡水使用量を削減するためサプライヤーと協力し、自社運営施設において効率性に優先順位をつけ、製品生産時の水使用量の削減に尽力しています。 

水不足は特定の地域の問題です。どこで優先的に行動を起こさなければならないのかを確認するため、世界自然保護基金(WWF)の水危機フィルターのようなツールを使用したり、水不足が深刻な地域にあるサプライヤーを助けるために状況に応じた水に関する目標設定のガイダンス開発をするなどして世界自然保護基金(WWF)と共働しています。 

これらの水使用削減目標を前進させるために、当社は、アパレルインパクト機構(Aii)、を通して水効率改善を行うサプライヤーやパートナーとの共働を続け、以下のことを行います。;有害な化学物資の削減と廃水の責任管理;衣類の仕上げで、従来の洗浄方法と比べ少なくとも20%の水使用量削減可能なウォッシュウェルのようなプログラムの使用の拡大;革新的な水処理や再利用水の対処法の導入支援によって淡水使用に対する依存削減の援助。さらに、当社は、新しいウォーターイノベーションセンターを通じてアパレル産業全体で水マネジメントを高めることを支援していきます。ウォーターイノベーションセンターはインドを拠点とするサプライヤーであるArvind Limitedと提携して2023年に発足予定で、水使用量削減のベストプラクティスを紹介し、新技術やソリューションのオープンソースを開発します。

資源効率と製造の取り組みを実行するため、Gap Inc. は2つのプログラムを主導しています: 

  • 水質管理プログラム(WQP):2004年以来、当社はデニムの洗い加工場での廃水の水質と化学物質の管理を積極的に監視、改善しています。また、2024年までに当社の水質プログラムをすべてのティア1湿式加工施設に拡大することを目指しています。 
  • ミルサステナビリティプログラム:すべての戦略的繊維工場がミルサステナビリティプログラムに参加しています。このプログラムは明確な環境基準を設定し、透明性を向上させ、技術革新を推進し、業界内の取り組みと当社のアプローチを一致させるものです。 

水質プログラムとミルサステナビリティプログラムは以下を通じて製造過程における水への影響に対処しています: 

  • 環境管理とパフォーマンス:サステナブル・アパレル連合(SAC)の創設メンバーの一員として、Gap Inc. はHiggインデックスを使用してサプライヤーの環境パフォーマンスを評価し、当社の目標達成を後押ししています。2017年からはHigg施設・工場環境モジュール(FEM)の使用を拡大し、ティア1とティア2サプライヤーの自己評価からデータを収集しています。そしてサードパーティによるこの自己評価の検証件数を増やしています。当社のHigg FEM対応に関する詳細はSASBインデックスをご覧ください。    
  • 廃水と化学物質の管理:当社はZDHCの製造時制限化学物質リスト(MRSL)とZDHCの廃水ガイドラインを採用しています。水質プログラムまたは工場サステナビリティプログラムに参加する施設は廃水を検査して最低限のパフォーマンス基準を満たし、認証された化学物質管理プラットフォームに登録して使用し、化学物質の在庫情報をトラッキングして当社と共有する必要があります。 

Gap Inc.  のブランドは製品レベルでの水への影響を以下のような方法で削減しています。  

  • Washwellこの方法は、衣類染めと仕上げ加工の使用水量を従来の方法と比較して少なくとも20%削減します。Washwell™型の製造方法を採用する洗い加工場は水質プログラムにも参加させています。2016年のGapブランドによる立ち上げ以降、Washwell™はAthleta、Old Navy、Banana Republicでも採用されています。    
  • デザイナーのための原材料推奨繊維ツールキットなど、従業員が使用することで水にプラスの影響を与える持続可能な原材料の使用を拡大できるリソースを用意し、当社製品のデザイン上の決定を製造工程の改善や革新的な染色技術に結びつけ、サプライチェーンでの節水を可能にするとともに消費者への啓発も行っています。

(1)淡水には、Gap Inc. の製造工程で使用される地下水、地表水、市水、雨水が含まれます。 

Arvind社のデニム工場での廃水再利用

私たちの水使用量削減の取り組みのひとつに、インドを拠点とする大手テキスタイルメーカー、Arvind社との革新的なパートナーシップがあります。

このコラボレーションを通じ、アーメダバードにあるArvind社のデニム製造工場は膜型バイオリアクター水処理技術で周辺の地域社会からの廃水を浄化し、すべて再生水で稼働しています。これにより年間20億リットルの淡水が節約され、地域社会の重要な資源保護に役立っています。また、この過程は化学薬品を使わない処理方法で廃水を浄化することで持続可能性にも貢献しています。

還元

淡水の消費問題に取り組むため、当社は水使用量の削減だけでなくそれ以上のことも考慮しなければならないと考えています。製造過程やGap Inc. の会社施設で使用された水を残すため、当社のビジネスに携わる水不足が深刻な地域に同等量の水を還元することを目指します。当社は、流域の再生と自然保護に取り組むプロジェクトのような集団行動イニシアチブを通して、綿花畑における再生原則や他の良い水管理方法を推奨する農民トレーニングと同様、気候変動からのビジネスリスクを減らすため、当社のバリューチェーンがある優先的流域を強化していこうとしています。当社は、水と気候のレジリエンスを強化するため、エコシステムの回復、生物多様性、包括とジェンダー均衡性を強調した地域の水へのアクセスに対して更なるの恩恵を与えて、水の入手や平等性をサポートするプロジェクトに投資をしていきます。当社は世界資源研究所の水ベース容量分析会計手法や影響を測る他の良い方法の枠組みを使用し、状況分析や地域推進のソリューションのイニシアチブの基礎を固めてまいります。 

政策提言と業界変革のためのパートナーシップ

Gap Inc. は、他の団体と共働することは水危機の取り組みへの乗数効果をもたらすと信じています。そのため当社は、分野、非営利団体、サプライチェーン全体のベンダー、地域社会のステークホルダーの枠を超えて密接に連携しながら活動を行い続けます。このパートナーシップと重要なイニシアチブへの関わりを通して、Gap Inc. は継続的な学習、ベストインパクトの採用、そして、意義あるインパクトを大規模に達成することを支援するための集団行動に取り組んでいます。 

当社は水に関連したイニシアチブやフォーラムと共働しています。 

  • UN CEO Water Mandate2016年から当社は、国連事務総長と企業のウォータースチュワードシップを通じて世界の水問題に取り組むビジネスリーダーを動員している国連グローバル・コンパクトの特別イニチアチブであるthe CEO Water Mandateに賛同しています。2023年、当社は「水に関する行動を加速するためのビジネス・リーダーズ・オープン・コール」に署名しました。
  • Water Resilience Coalition(水レジリエンス連合、WRC):Gap Inc. は、2030年までに世界100ヶ所の流域の水にプラスの影響を与え、3億人に飲料水と衛生設備への持続可能なアクセスを提供することを目指しているWRCの創立メンバーです。
  • WASH4Work:この国連グローバル・コンパクトのプログラムは、持続可能な開発目標(SDG)の目標6「清潔な水へのアクセス」に対して、職場、地域社会、およびサプライチェーン全体でビジネス上の実践を動員するものです。
  • 世界水の日:毎年、Gap Inc. は「世界水の日 Walk for Water」を開催し、数千名の従業員が参加して1.2マイルを歩きます。この距離は水不足に悩む地域の女性たちが、最寄りの水源まで水を汲むために(多くの場合、1日に何度も)歩かなければならない平均的な距離を示します。
  • SIWI世界水週間:毎年8月、パートナーや業界の同業者とともに地域社会の水レジリエンスを高める方法、企業の水戦略がビジネス価値を高める方法、持続可能な綿花調達の方法などのテーマで話し合いを行っています。
  • Water Innovation Center for Apparel:世界的なテキスタイルメーカーであるArvind社と共同で、インドに18,000平方フィートの「Water Innovation Center for Apparel」を建設中です。このセンターでは水管理のベストプラクティスやリサイクル技術などを紹介していきます。