持続可能な原材料の調達

持続可能な繊維の選択


Gap Inc. の商品にはさまざまな種類の繊維が使用されています。具体的には植物由来のコットンやリネン、動物由来のウール、レザー、カシミアなどを含む天然繊維、ポリエステルやスパンデックスといった合成繊維、レーヨンやモダールなどパルプ由来の人工セルロースなどが挙げられます。どの繊維も社会や環境に影響を及ぼすため、当社ではデザイン工程で情報に基づいた判断をするために必要な知識をデザイナーに身につけさせています。

ワタ

どの繊維も社会や環境に影響を及ぼすため、私たちはデザイン工程で情報に基づいた判断ができるようデザイナーを教育しています。

woman in a meeting

コットン

コットンは私たちのビジネスに欠かせない素材です。世界有数のアパレルブランドであるGap Inc. が使用するコットンの量は世界全体のコットン供給量において大きな割合を占めます。コットンの栽培には広大な土地、多くの労働者、農業機械、害虫・雑草管理措置が必要であると同時に大量の水が消費されます。また、コットンは経済においても重要な農作物であり、女性を中心に2億5000万人の生計を支えています。

私たちはすべてのブランドで持続可能なコットンの使用量を増やそうと努め、Gap、Banana Republic、Old Navyでは持続可能なコットンに完全に切り替えることにコミットしています。持続可能なコットンとはオーガニックコットン、再生コットン、ベター・コットンイニシアチブ(BCI)認証コットンなどです。2016年にBCIに参加したGap Inc. は今や、BCIコットン使用量ランキングで世界第3位という誇らしい結果を出しています。2018年には全ブランドを合わせるとGap Inc. が調達したコットンの40%以上がBCIコットンとなりました。

上記の選択肢を取ることで、水や農薬の使用量の削減と土壌の改良ができうえに、労働者や農家にとってもより良い栽培方法で生産されたコットンを買い付けられるようになります。例えば、BCIは世界中の何百万人もの農家に対し「化学肥料や農薬が環境に与える悪影響を最小限に抑え、水および土壌の安全性や生息環境に配慮しながらコットンを栽培する方法」のトレーニングを行っています。また、BCI提携農家はディーセント・ワークの原則に従い、労働者の安全と心身の健康を守る労働環境の整備に取り組むことになっています。この活動が功を奏し、2013年の比較調査では、BCI提携農家の水使用量が、BCIの原則に準拠していない農家よりも14%~から23%低く抑えられているという結果が出ました。

調達慣行を発展させる中で調達先地域についても理解を深めていますが、その際には特に水害を受けやすい地域のリスクや気候変動による他の影響などに重点を置いています。コットンはほとんどがインド、中国、パキスタンなど水ストレスの高い地域で栽培されるため、私たちはコットン調達に関わるリスクについて包括的な評価を確立しました。

woman in a meeting

合成繊維

アパレル商品に欠かせない機能性を備えるポリエステル、スパンデックス、ナイロンなどの合成繊維も当社の商品に使用されています。ただし、合成繊維のほとんどは再生不可能な石油系の原料に由来します。合成繊維は生物分解されないため、天然繊維と比べて不要になったときの処理方法が限られてしまいます。これらの課題に対処するため、Gap Inc. は持続可能な合成繊維の調達量を確実に増やせるよう対策を取っています。

これらの課題に対処するため、Gap Inc. は持続可能な合成繊維の調達量を確実に増やせるよう対策を取っています。しかしながら、再生ポリエステルを繊維に加工するには費用がかかり、十分な量の供給を確保するのは困難です。そこで私たちは2018年に再生ポリエステルのライフサイクルアセスメントを行い、可能な範囲で再生ポリエステルの使用量を徐々に増やしてきました。またGap Inc. はテキスタイル・エクスチェンジの再生ポリエステル・有機合成繊維ワーキンググループの常任メンバーとして、アパレル業界の持続可能な繊維の使用拡大へ向けた革新的施策について調査を進めています。

Athletaは、アクティブウェアに大量の合成繊維を使用しているブランドとして、2020年までに持続可能な繊維から作られた素材の使用割合を全体の80%にするという目標を掲げ、この問題に対する先進的な立場にあります。Athletaは非再生原料の環境負荷の相殺と廃棄への流れを食い止め、再生不能資源の保全につながる再生ポリエステルや再生ナイロンを調達します。Banana Republicも2023年までに商品の50%を持続可能な繊維(BCIから調達したコットン、再生素材、有機素材など)とする目標を掲げています。

woman in a meeting

人工セルロース

Gap Inc. は大手サプライヤーと密に協業し、2020年までに古代林や消滅の危機にある森林の木を材料とした木質繊維の使用を廃止する全社的ポリシーを遂行しています。森林の生態系は生物多様性の促進、水流の保護、大気への二酸化炭素排出の緩和を可能にする重要な天然資源であり、こうしたコミットメントはかけがえのない森林を守り、私たちの気候変動対策にもつながります。Gap Inc. はNGO団体キャノピーによるファッションと森林の持続可能性の取り組み「CanopyStyle」とのパートナーシップを通じて確立したポリシーでは、私たちのサプライヤーが古代林や消滅の危機にある森林、保存価値や炭素価値の高い森林地帯を使用してレーヨン、モダール、ビスコース、リヨセルといったセルロース素材のテキスタイルを作らないよう徹底することを目指しています。

この達成のため、私たちは繊維工場とともに、古代林と危機的状況にある森林を原産地とする木材に由来する繊維の調達廃止を目的とした原材料サプライヤーの特定、CanopyStyleの監査および改善計画の活用、新しい素材開発の奨励に取り組んでいます。当社が取引する大手サプライヤーとのパートナーシップを通じ、Gap Inc. は再生セルロースを商品に取り入れる方法も追求しています。2018年には社内調査の実施やサプライヤーとの話し合いを通じ、当社サプライチェーンにおけるセルロース繊維の使用量の80%以上に関するデータを収集しました。このデータを通じて、私たちが使用するセルロース繊維の77%がGap Inc. のコミットメントに適合していることが分かりました。Canopyによる監査を受けるサプライヤーの数を増やし、すでに受けているサプライヤーの一部に対し改善計画にコミットしてもらうよう、取り組みを続けていきます。